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サキベジブログ

認知症は正論では進行を止められない


 ニューヨークにいる娘から、彼のお母さんの認知症が進み始めた。どうしたらいいだろうかとの相談を受けた。

 彼のお母さんは戦後、息子を一人連れてニューヨークに渡り、シングルマザーで息子を育てながらニューヨークの生保業界で立春出世をはたした。その間にはお酒の付き合いも多く、小さな息子は家に帰ってからの母の体調を見て育ったせいか、お酒を飲まない家庭を夢見、今飲まない。

 お母さんも年を取り、生保業界を引退し今はマンハッタンのマンションで独り住まいをしている。引退と同時に段々認知の症状が現れ始めた。
 独り住まいもありお酒の量も、回数も増えた。
 お酒を飲まない息子は「お母さんの認知症はお酒を飲み過ぎるからだ」と母を責める。一人息子にとって母親は何にも代えがたい存在だ。
 お酒の量が増えるにしたがって、認知症が進むことに息子は胸をひきちがれそうで、我慢ならずお母さんにより一層辛く当たってしまう。
 母も「もう私には、生きる目的も、楽しみもないから、死んでしまいたい。暁代(私の娘)さんにも迷惑かけるばかりだから、早く死にたい」と口走ってしまう。怒る彼に娘は、「そんなに怒ってお母さんが可哀そう」と彼を諌める。

 皆さんどうでしょう、これはニューヨークだから起きている問題でしょうか。
 同類のことが私達の身近に頻繁に起きてきました。その時代を迎えたのです。

 彼も娘も正論です。しかし二人の正論では認知症の進展、お酒の依存症は食い止められない。と私は思います。
 私は医者ではないのですが、解決策があります。
 娘に2点のアドバイスをしました。

 1点は、彼がお母さんにすべき行動は、言葉の正論を発するのでなく、アルコール飲んでいるお母さんを「長い年月、ニューヨークの厳しい環境で僕を育ててくれた。お母さんありがとう。その苦しみが今認知症として現れている、今度は僕がどんな状態になってもお母さんを守る。お母さんありがとう。の思いを持って、お母さんを抱きしめる。
 ただ抱きしめる。お酒の量が減らなくてもいい。認知症が進んでもいい。僕のお母さんだからと言ってただ抱きしめるだけ。

 もう1点は娘に、彼がお母さんに厳しいことをいうときは、そんなことを言ってはダメ。と言うのでなく、彼も苦しんでいるのだ。大事なお母さんがこんな風になって一番悲しんでいるのは彼なのだ。その彼の心情を察し、彼をただ抱きしめるだけ。言葉はいらない。ただ抱きしめる。
 この彼を支えるのは自分しかない、彼の悲しみを共有する。それは言葉ではない。暁代の行動のみ。


 この2点を彼にも伝え、3ヵ月徹底的にやってみる。そして3ヵ月後私に報告してほしいと娘に伝えた。
 「お父さん有難う。相談して明るくなった」
 早朝6時から娘との約1時間の電話を終えた。(無料のラインはありがたい)。