数日前には、「小山さんは何で銭がないんだ。俺なんぞ小判がザクザク」と冗談を言い合っていた八百屋さんのおじさんが突然亡くなってしまった。
その日の午前中は一緒に働く娘さんとこれからの八百屋をどうするか、にこやかに話をした。午後になって、ちょっと出かけると言って、温泉に入りに行った。その温泉で倒れ、そのまま旅立ってしまった。残された娘さんは語ってくれた。
お父さんは死ぬまで働くと言っていたから、その通りになって満足だったこと、満足だったと思いますよ。また突然の死でバタバタして葬儀の際飾る家の写真を探すどころではなかったが、小山さんが以前撮ってくれていたスナップ写真が
ラインに残っていたので、それを使わせていただいてとても助かりましたと感謝もされたが、あと親や親の親父さんがいなくなってしまったのは寂しい限りだ。ヒートショックとのことだが、振り返ってみれば数日前から肩が痛いとか、
歩き方ちょっと遅くなったと言っていたので、ひょっとしたらこれが予兆だったかもしれない。このとき、もう少し気をつけていればよかったとも娘さんは語った。心筋梗塞だったのだろうか。予兆を見逃せない日常を送りたいものだとつくづく