認知症が進む介護度5の妻は、週2回デイサービス所に通っている。
デイサービス所に行きたくないとか、施設の人との関係がうまくいかないとかいう話をときおり聞くが、妻にとっても私にとってもデイサービス所との関係は送迎から始まって、入浴、運動、リクレーション、昼食などすべてとても良い。
いいケアマネさんに恵まれたこともあるが、デイサービス所の気配り、気遣いが極めて細やかで、遠くにいる子どもより家庭以上の温もりを感じる。
毎回「交換ノート」の形で詳しくその日の過ごした様子を書いて、報告してくれる。本人が帰ってくると、私はいの一番その交換ノートを見る。そして見ての感想を書く。
先日、その交換ノートの中に、妻の誕生日を祝ってくれた手作りのバースデー写真が同封されていた。昨年も作ってくれ、スタンドにいれ机に飾ってあるが、今年もまた趣向を凝らして、「妻の指が頬に、唇に軽くあてがうポーズ」が取られていた。
この写真を見、「唇に指を当てるなんて素敵なポーズだね。誰に教わったの。」と妻に訪ねた。「敬君かな?」息子の名前が出た。デイサービス所に息子がいるわけではないが、妻の脳がどんな状態になっても、息子から電話がいつも来るわけではなくても、母の脳には息子の名前は刻み込まれているのだ。
ちょっと切なくもなり、嬉しくもあった妻のバースデ―写真だった。